2009/02/04

ツキ板の共振性 at 音楽ホール






音楽を愛する人々がともに集い、堪能し合う響きの空間。

1986年に東京初のコンサート専用ホールとして「世界一美しい響きを目指して、設計され、世界の一流アーティストによる演奏会が連日行われています。



壁面の内装材にはホワイトオークを、そして、床や客席の椅子背板には楢材をふんだんに使用し、暖かみのある響きを実現しています。



何故ゆえに音楽ホールでツキ板が使用されているのでしょうか。

木材には、室内から発生する空気伝搬音を低音、中音、高音とバランスよく吸収し、不快感を残さず、適度な残響を残すという優れた特性があります。

コンクリートのようにいつまでも音を室内に残さず、吸音率は250Hzの周波数ではコンクリートやビニールの20倍にもなります。

また木材は軽くて強いことが特徴でありながら、遮音性もある程度持っています。
同時に人間の耳には聞こえない樹木や自然界が発する超高音周波数(都会では少ないが)を通し、五感の快感覚を育ててくれるという特性もみられます。

この自然界の超高周波数は大体において1/fゆらぎになっており、マイナスイオンを伴っているとみられている。

音と木材の関係では、残響性とともに、音をまろやかにする特性があり、世界中の著名なコンサートホールで多く使われています。

参考資料(財)日本木材総合情報センター
「木がつくる住環境」


Suntory Hall
サントリーホールの設計にあたっては「世界一美しい響き」を基本コンセプトに掲げ、第一線で活躍する指揮者や演奏家はもとより音楽を愛する各界の人々の意見が幅広く取りいれられました。


大ホールは、日本では初のヴィンヤード(ぶどう畑)形式。全2006席がぶどうの段々畑状にステージ(太陽)を向いているため、音楽の響きは太陽の光のようにすべての席に降り注ぎます。

音響的にも視覚的にも演奏者と聴衆が一体となって互いに臨場感あふれる音楽体験を共有することができる形式です。

側壁を三角錐とし、天井は内側に湾曲させ、客席のすみずみに理想的な反射音を伝える構造です。

客席はグループ分けされていますが、その側壁も反射壁として有効に活用されています。

目標に掲げた音響特性は、「余裕のある豊かな響き」「重厚な低音に支えられた安定感のある響き」「明瞭で繊細な響き」「立体感のある響き」の4点で、残響時間は満席時、中音域で2.1秒となっています。

サントリーホールはそれ自体が素晴らしい楽器(共鳴箱)です。
消え入るようなピアニッシモの美しい響きをホールのすみずみまでに伝えるため、客席配置をヴィンヤード(ぶどう畑)形式とし、床、壁、天井、座席などの形状や材質を入念に検討し、模型を用いたさまざまな音響テストを幾度も繰り返して、理想の姿を追求しました。
サントリーホールHPより


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