2011/02/03

ツキ板の照明でウォームビズ+ αプラスアルファ


  
「われわれの祖先の天才は、
    虚無の空間を任意に遮蔽して自ら生ずる陰翳の世界に、
     いかなる壁画や装飾にも優る幽玄味を持たせたのである。」

                        谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」







地平線に沈む夕陽のように私たちの心を解きほぐす


肥松ツキ板の灯り


目線よりも低い位置から柔らかなオレンジ色の光に包まれた時、
まるで夕焼けの空を見ているかのようにほっと気持ちが和むのは
なぜでしょう.....


いにしえの時代、まだ私たちの祖先が狩りをしていた頃、
人類は朝日とともに1日をスタートさせ、
夕陽を浴びながら家路につき、パチパチと薪火のはぜる音を耳にしながら
炎を見つめ心と体を休めていました。

この何万年と続いた太古からの記憶により、私たちの身体には光の指令に対する反応がDNAレベルで受け継がれているといわれています。























夕焼け色に染め上がる、たおやかな木目を見つめていると、
まるで薪ストーブの炎のゆらめきを眺めているような、ほっこりとした暖かさが伝わってきます。

また、このツキ板の灯りの演出には、太陽が傾いてくると、夕日が山や海に光を当てながらも、その反射で回りの空気をやわらかな光で満たすのと同じ原理が働いています。


ランプシェードに使われたツキ板の繊維質が有害な紫外線を吸収し、眼や皮膚に優しい赤外線の光を放ちます。

上下に抜けた光は土壁と木製フロアーでバウンドし、余分な光をそぎ落とすとともに残った仄かな光がその空間をやさしく包み込んでくれるという仕掛けです。








さらには、この照明の演出にはメラトニンを正常に分泌させてスムースに睡眠にいざなう秘密も隠されています。


色彩心理の面からみても松の赤い長波長の色は時間をゆっくりと感じさせる効果があり、静けさをじっくり味わいたい夜の帳には一挙両得....



人間の感覚の約8割は視覚によるもの。
光を絞ったり、陰影のリズムをつくることで空間は広がりをつけ、
人の心も静かに深く動かされるというわけです。























二連の照明 (φ900+φ850)×H1200
京都デザイン大賞コンペ 1999
伝統工芸特別賞


シーンにあわせ「光と影の作法で迎え付け」

ツキ板の光樂師:水谷嘉信氏による木想の一品。








あかりのオブジェ展 1999 
テーマ部門入選

三連の照明 
(φ900+φ850+φ800)
× H1600









めくるめく変化を遂げる光の先進技術、

私たちの生活、ビジネスにも新たな光が差し込みますように...


メラトニン・・・・・眠りを深くするためのホルモン。
就寝2時間前(少なくとも30分前)に、このようなオレンジ色の間接照明で過ごすとメラトニンの分泌量が増え、スムースに眠りに入り、その後も良質な睡眠リズムを刻み続けることが科学的に裏付けされています。

逆に夜間、高い位置から明るい光を浴びたり、明るい画面(PC、TV等)を見て過ごしていると視神経を刺激し、身体が緊張して体内時計を狂わせ、不眠症の原因につながり、長く続くと鬱の危険性も高まるということが明らかになりました。                   (参考:労働安全総合研究所)