2011/02/28
ディープ大阪人のお散歩
小社ダイゲン単板から、てくてくテクシーで55分
大阪高島屋の東別館
ここは大理石とカバのツキ板のパラダイス...
昭和12年に完成した建物で、夏目漱石の義弟・鈴木禎次による設計です。
窓やエレベーター、階段など細部にまで拘った瀟洒な作りで、現在、1F 2Fはブライダルサロンになってしまいましたが、10数年前まではエミール・ガレやルネ・ラリックなどの高級調度品が陳列された小さな美術館のような風情でした。
昔のデパートの方が豪華で凝った造りだったんですね...
3Fは資料館になっています。
とてもクラシカルな(相当年季の入った)カバのツキ板もご覧頂けますよ。
歴史ある建物とツキ板が一蓮托生となってお出迎えする資料館です。
高島屋の歴史に関する常設展示5000点にも及ぶ所蔵品の中から季節やテーマに応じた展示をしています。
南館(現在の中央ゾーン南側)とタワープラザ(高島屋に隣接するスイスホテル)にあるサロンルシックは、輸入ブランドのみの売り場としては日本最大級で、かつては輸入の高島屋と言われていたほど。
約50ものインターナショナルブランドが軒を連ね、アールデコ調のシャンデリアにカーペット、インテリアもとてもシックでした。
高島屋は芸術家とのつながりもとても深く本館6階の美術画廊入口に架けられた『高島屋美術部』の看板は、今から約90年前に富岡鉄斎が揮亳したものです。
高島屋は来月、グランドオープン、
創業180周年を迎えます。
2011/02/03
ツキ板の照明でウォームビズ+ α
「われわれの祖先の天才は、
虚無の空間を任意に遮蔽して自ら生ずる陰翳の世界に、
いかなる壁画や装飾にも優る幽玄味を持たせたのである。」
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
地平線に沈む夕陽のように私たちの心を解きほぐす
肥松ツキ板の灯り
目線よりも低い位置から柔らかなオレンジ色の光に包まれた時、
まるで夕焼けの空を見ているかのようにほっと気持ちが和むのは
なぜでしょう.....
遥古の時代、まだ私たちの祖先が狩りをしていた頃、
人類は朝日とともに1日をスタートさせ、
夕陽を浴びながら家路につき、パチパチと薪火のはぜる音を耳にしながら
炎を見つめ心と体を休めていました。
この何万年と続いた太古からの記憶により、私たちの身体には光の指令に対する反応がDNAレベルで受け継がれているといわれています。
夕焼け色に染め上がる、たおやかな木目を見つめていると、
まるで薪ストーブの炎のゆらめきを眺めているような、ほっこりとした暖かさが伝わってきます。
また、このツキ板の灯りの演出には、太陽が傾いてくると、夕日が山や海に光を当てながらも、その反射で回りの空気をやわらかな光で満たすのと同じ原理が働いています。
ランプシェードに使われたツキ板の繊維質が有害な紫外線を吸収し、眼や皮膚に優しい赤外線の光を放ちます。
上下に抜けた光は土壁と木製フロアーでバウンドし、余分な光をそぎ落とすとともに残った仄かな光がその空間をやさしく包み込んでくれるという仕掛けです。
さらには、この照明の演出には※メラトニンを正常に分泌させてスムースに睡眠にいざなう秘密も隠されています。
色彩心理の面からみても松の赤い長波長の色は時間をゆっくりと感じさせる効果があり、静けさをじっくり味わいたい夜の帳には一挙両得....
人間の感覚の約8割は視覚によるもの。
光を絞ったり、陰影のリズムをつくることで空間は広がりをつけ、
人の心も静かに深く動かされるというわけです。
二連の照明 (φ900+φ850)×H1200
京都デザイン大賞コンペ 1999
伝統工芸特別賞
シーンにあわせ「光と影の作法で迎え付け」
ツキ板の光樂師:水谷嘉信氏による木想の一品。
あかりのオブジェ展 1999
テーマ部門入選
三連の照明
(φ900+φ850+φ800)
× H1600
めくるめく変化を遂げる光の先進技術、
私たちの生活、ビジネスにも新たな光が差し込みますように...
※メラトニン・・・・・眠りを深くするためのホルモン。
就寝2時間前(少なくとも30分前)に、このようなオレンジ色の間接照明で過ごすとメラトニンの分泌量が増え、スムースに眠りに入り、その後も良質な睡眠リズムを刻み続けることが科学的に裏付けされています。
逆に夜間、高い位置から明るい光を浴びたり、明るい画面(PC、TV等)を見て過ごしていると視神経を刺激し、身体が緊張して体内時計を狂わせ、不眠症の原因につながり、長く続くと鬱の危険性も高まるということが明らかになりました。 (参考:労働安全総合研究所)
2011/02/01
ウォールナット、ブラックウォールナット
Black walnut,American black walnut,Eastern black walnut
学名:Juglans nigra Juglandaceae
科:クルミ科
ブラックウォールナット、アメリカンブラックウォールナット、
イースタンブラックウォールナット
日本ではかつて、家具内装用にブラックウォールナットが大量に用いられ、ブームとなった時期があったが、現在も東西を問わず人気の樹種である。
伝統的な銘木の一つとして扱われ、知名度も高いことから、「○□△~ウォールナット」等として名前を借用した商品名の木材は多い。
分布・産地:一般的にツキ板用材として使われるウォールナットは北米の東部に分布している。
木材:心材はチョコレート色から赤紫、貝紫~暗貝紫で、色は一様ではない。
墨を流したようなぼかしの縞状の模様の材面が品良く美しい。
辺材はアイボリー色。辺材を染色して使うこともあるが、5、6年程前より、心材の茶と辺材のアイボリーのツートンを生かした貼り方もテナント仕様としてある。
肌目は粗く、木理はしばしば不規則になるので、これが化粧単板としての価値を高める。
粘り強く、加工は容易で衝撃に強く、製品の安定性も良好。
気乾比重: 0.62
用途:ツキ板として家具、キャビネット類に多く用いられる。
銃床、ピアノなどの楽器類。
ウォールナット柾
ウォールナット板目
参考:世界の木材200種 須藤彰司著
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