「分光反射率」という光の7原色を木材に当てたときに長波長の赤や黄色を返すイメージを図にしました。
木材は目に有害な紫外線を吸収し、赤外線を分反射しています。
ツキ板を面化粧材として内装や家具調度品に使用することは正に適材適所であることが分かります。
光の方向による反射も樹種によって独特の光沢を見せますが、木材が紫外線を吸収し、赤外線を反射することは「あたたかさ」を感じさせる要素を持っていることにも最大の特色があります。
また、木材には細胞構造による微少な凹凸面があり、それにより、光がミクロに散乱するので「つるつる」や「ざらざら」のいずれでもない上質さを感じる光沢感が得られます。(機械の測定値以上)
どの木目がコンピュータ処理されていない自然の木目かお分かりでしょうか?
視覚特性を担うのは、材面の木目と色調で、樹種と樹齢により、それぞれの趣きを見せますが、針葉樹は年輪の輪郭の明確さと色合いに妙があり、おとなしい木目が多い。
広葉樹は材面に現れる導管が視覚に作用し、その走行、分布、配列と樹種による独特の色彩が加味され味わいのある視覚特性を形成します。
全国ツキ板展示会前日セミナー
講演者 仲村匡司(なかむら まさし)氏
所属:京都大学大学院農学研究科森林科学専攻
プロフィール:福岡県出身、44歳。
京都大学農学部林産工学科に入学。卒業研究で「節の見た目」に取り組んだことがきっかけで、「木材と人のちょっといい関係」を考える研究を進めていくことになる。
講演要旨
古刹の優雅な社寺建築あるいは最近の大規模木構造を例に出すまでもなく、木材は住宅を支える構造用材として使えます。
また、その優れた吸放湿性能や断熱性能などによって快適な居住空間の構築に寄与できます。
つまり、木材は、住宅が備えているべき基本性能を満たすことができます。
さらに木材が素晴らしいのは、このようなハードウェア的な機能だけでなく、その見た目や手触りなどを通じて居住者にプラスαをもたらすソフトウェアとしても機能できることです。
ハードにもソフトにも利用できる材料は木材以外にちょっと見当たりません。
例えば、人が直接見たり触れたりする部分に何を用いるかを考えるとき、その材料に対して私たちがどのくらい親和感を抱くかは、きっと無視できない因子となります。
しかし、いくら「木がいい」と言っても"ニュアンス"だけの親和感では大変心許ないので、なぜいいのかを科学的に明らかにする必要があります。
この講演では、講演者の実験データを交えながら、ソフトウェアとしての木材、特に木目模様について考えてみたいと思います。
木目による官能評価の違い
「感じが良い」「ゆらぎが小さい」
「木らしい」「ゆらぎが大きい」
※上記掲載しましたイラストや写真は講義内容をイメージ化したものです。
実際にセミナーで使用されたデータとは異なります。